christinaの備忘録

てきとーに。

明晰夢をコントロールするデバイス「Remee」の覚書

 

Remee

二年ほど前にRemeeと呼ばれる明晰夢を見るためのデバイスが話題を呼んだ。明晰夢の中では夢を見ている最中にそれが夢であることを自覚でき、更に自分が夢の内容をコントロールできると言われている。つまり体一つで空を飛んだりするような、現実ではできない事を夢の中で臨場感を伴って体験できる。コントロールはできないにしろ、現実かと思うような臨場感の夢を見たことがある人は多いだろう。明晰夢は素晴らしい話に聞こえるが、実際に明晰夢を見るには訓練が必要で、諦めてしまう人が多い。そんな明晰夢を見るための手助けをしてくれるのがRemeeだ。誰でも簡単に明晰夢を見れたら素敵でしょ?

 

そんなRemeeだから2年前に発売した時はかなりの騒ぎになった。実の所明晰夢を見るための似たようなデバイスは他にもあったのだが、値段は1000ドル以上もするような製品が並んでいて普通の人が買うような物ではなかった。そこに出たRemeeは95ドルという驚異的な価格だったから興味を持つ人もぐっと増えたわけだ。元々はKickstarterのクラウドファンディングで募集されていて、自分も買おうかと思ったが当時は結局踏ん切りがつかなかった。

 

しかし発売してからRemeeに関する話は全く聞かない。そうこうしているうちに月日は経って、今度は別のAuroraという明晰夢補助デバイスが出るそうだ。せっかくなのでRemeeが発売後にどういう評価を受けたのかまとめておく。

 


 

Remeeの原理

明晰夢を見るためには夢が夢である事を認識する必要がある。Remeeのようなデバイスは多かれ少なかれ同じ事をして今見ているのが夢である事を伝えようとする。光か音だ。Remeeはアイマスクのような形状をしていて、タイマーによって眠りに落ちた後にLEDで決められたパターンの光を発する。これがサインとなって、夢である事を認識しやすくなるという仕組みだ。

注意しないといけないが、Remeeが光を発しても同じ色の光が夢の中に飛び込んでくるわけではない。光は夢の中の何かしらの刺激という形に変換されて伝わるので、運が良ければ太陽の眩しい光になるかもしれないが、そうでなければ水のきらめきといったより分かりにくい刺激として表れる。

Remeeが優れているのは、光の強さやタイミング、パターンを簡単に変更できてかつ150グラムと非常に軽量な点だ。アイマスクとして使うわけだからこれはとても重要な事で、重量が1キロもして光を調節する小さなスイッチが何個も本体に付いてたらお世辞にも快適だとは言えないだろうからね。安いし使いやすく軽量、なんだかいい感じだ。

それで、実際どうなの?

そんなこんなで次世代明晰夢マスクとしてRemeeは発売されたわけだけど、その後は全く話題にならなかった。レビュー記事が流れてくることもなかった。日本人でも買った人はいたようだけど、ごく少数に見える。

海外の反応を見てみると、評価は大体こんなところのようだ。Remeeは廉価で快適なマスクだが、重要な機能の一つが欠けている。そして他のデバイスにも共通しているが、これを数日使ったから明晰夢が自由に見られるなんて事にはならない。怒り狂って詐欺じゃないかと主張する人もいる。

 

欠けている機能

明晰夢が最も見やすいのはレム睡眠時だと言われている。だからRemeeはレム睡眠時に光を発すれば良いという事だ。問題はレム睡眠をどうやって検知するかで、これは睡眠記録を取れば後はタイマーを使ってどうにかできるほど簡単な話ではないようだ。レム睡眠のタイミングを予測するのも難しいし、睡眠の深さまで考慮しないといけないのだから。レム(Rapid Eye Movement)という名前が示すように、レム睡眠を検知する方法の一つは眼球の運動を見ることで、それをRemeeに組み込んだら間違いなく製品の値段が上がってしまうし。覚えているかもしれないけど、Remeeは95ドルという驚異的な安さだ。値段相応というのが妥当な所のようだ。

これが問題となっているのはRemeeが実際に出荷されるまでレム睡眠を検知できない事が十分説明されていなかったからで、製品のPVでも注意深くこの事に言及しないようにしていた。

 

デバイス全般の有効性

Remeeのようなデバイスはあくまで明晰夢に入る手助けをする以上の事はできない。何も無いよりは簡単だろうけど、それを使ったらその日から明晰夢が見られるような魔法の道具ではない。明晰夢が見たくて過剰な期待をする人には残念なお知らせだけど、既に明晰夢を見られる人ほどRemeeの恩恵を受けやすく、まだ意識的に見られない人には訓練が必要だ。

 

こうした問題を踏まえた上で、明晰夢を見るために努力をする意志のある人なら95ドルを払う価値はあると思う。

 

それで次は?

冒頭に書いたが、iWinksのAuroraというデバイスが2014年6月に発売されるそうだ。これは200ドルするが、レム睡眠の検知機能を備えている。Remeeの教訓を活かしているとすればいい製品になりそうだ

 

 

参考

Remee Lucid Dreaming Mask Review | Digital Trends

Remee is a scam and here's why - Lucid Dreaming App

The Remee Review: The Reality of Lucid Dream Masks