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christinaの備忘録

てきとーに。

意志の力を維持するためのブドウ糖

人は何かを我慢するとエネルギーを使う。例えば

  • おいしそうなクッキーを食べるのを我慢する
  • 人に良い印象を与えようとする
  • 先入観や偏見を抑えようとする
  • 死の恐怖と向き合う 

このような活動をした時に、その後の活動に影響が出ることが知られている。Gailliotらによる研究は自己制御のために脳がブドウ糖をエネルギーとして使っており、ブドウ糖血中濃度が能力に影響を及ぼす事を実証している。

 

背景

脳は多くのエネルギーを消費する。脳は身体の2%を占めるに過ぎないが、活動するためには摂取カロリーの20%近くを必要とする。
この脳が司る重要な活動の一つに、自己制御がある。その場にふさわしい振る舞いをし、健全な人間関係を維持し、長期的な目標を達成するには本能的な欲求を抑え、理性的に考えた行動を取る必要がある。このような自己制御は簡単にできる事ではなく、実験では被験者に自己制御が必要な活動をしてもらった後に別の活動をさせると、対照群と比べて成績が落ちる事が知られていた。このような事から自己制御は何かしらのエネルギーを消費すると考えられていたが、実際にどのようなエネルギーが関わっているかは分かっていなかった。

実験

この研究は、実験を通して自己制御に使われる主なエネルギーがブドウ糖であり、血中のブドウ糖の減少が活動の成績と関連している事を示唆している。

実験は次のような事を示している

減少量は課題によって異なった。これは課題の難しさを示唆している可能性がある

  • ブドウ糖の濃度が減少する課題を行わせた被験者に別の課題を行ってもらうと、成績の低さとブドウ糖の減少量には相関があった。
  • ブドウ糖が減少する課題を行った被験者にランダム化比較実験を行った。この実験では最初の課題の後にレモネードを飲んでもらう。レモネードはブドウ糖人工甘味料で味付けされている。

ここでブドウ糖の場合は140キロカロリー、人工甘味料は0カロリーである。
ブドウ糖は1分当たり30キロカロリーの速度で代謝され、代謝が終わるのを待つために12分の休憩を設けた。結果として

この差が人工甘味料と砂糖の味の違いでない事を見るため、飲んだレモネードがどれくらい好きだったか?というアンケート項目の値を調整した後でも有意な結果だった。

 

実験は多岐に渡る種類の課題が与えられており、かなり堅牢な結果に見える。例えば、消耗する課題を行った後に困っている人が現れた時にどれくらい積極的に助けるか?といったテストもある(そしてブドウ糖が足りないと、人はあまり手助けをしなくなる。何かを頼むなら一緒にご飯を食べた後にした方がいい)。
このような実験の結果から、研究ではブドウ糖が脳の中で自己制御のために使われるエネルギーだと示している。

この実験ではブドウ糖血中濃度の低下が成績の悪さに繋がったが、課題の成績に従って報酬を支払うとこの影響に抵抗することができる事が知られている。これはブドウ糖が成績に影響を与える単一の要因ではない事を示している。しかし、やる気が足りないことが自己制御消耗の主な原因ではない。働き疲れてくたくたになっている人に臨時報酬を払えばもう少し働いてもらうことができるかもしれないが、だからといって金銭的な報酬が足りないことが疲労の原因となるわけではないのだ。

 

実生活との関連では次のような研究結果がある

  1. 非行少年は自己制御能力に問題を抱えている
  2. 非行少年がブドウ糖を処理する能力は非行に走らない子供より低い

この研究が2つの橋渡しをするだろうか。
また、ダイエットをする際には必然的に摂取カロリーを減少させる事になる。結果としてブドウ糖の濃度が普段に比べて低くなる可能性があり、ブドウ糖の濃度が低ければもっと甘い物を食べたいという欲求に抵抗するのが難しくなるという皮肉な状況が起きる事になる。

 

注意


この研究はブドウ糖を大量に摂取することを推奨していない。ブドウ糖を直接取れば確かに血中濃度は上がるが、大量に摂取しても一時的な回復をもたらすに過ぎず、いずれは再度減少することになる。炭水化物やタンパク質のような栄養の方が長期的に見て効率的にブドウ糖を回復させる可能性もある。この実験でブドウ糖を使ったのは、代謝が速く実験に使いやすいという理由である。

また、消耗していない状態でブドウ糖を摂っても能力が向上するといった事は示されていない(消耗した分を補填する事はできる)


というわけで、脳のためにブドウ糖を量をわきまえて食べましょう。

 

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森永製菓 ラムネ 29g×20個

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  ブドウ糖そのもの

ぶどう糖 ボトル入 135g

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 参考文献

Gailliot, M. T., Baumeister, R. F., DeWall, C. N., et al. (2007). Self-control relies on glucose as a limited energy source: Willpower is more than a metaphor. Journal of Personality and Social Psychology, 92, 325-336.